【”失敗しない環境づくり”に警鐘】失敗が子どもの自己肯定感を高めるカギになる。
今回は「子どもの自己肯定感」について、ぼくの思ったことを伝えていきます。
これは、ぼくの意見であって、読んでくださっているみなさんの意見とはちがうかもしれません。
それでいいんです。
人それぞれの考えがあるので…。
今日は、いつも週に1回くらいでお世話になっている J くんとの出来事を踏まえて、ぼくが感じた「子どもの自己肯定感」についてシェアしていきたいと思います。
まず、この動画をご覧になってみてください。
※画面の横にある「▶」を押すと次の動画に進みます。
この子は、ぼくが定期的に見させていただいている小学1年生のJくんです。
お母さま曰く、ちょっとした発達障害があり、手と足をバラバラに動かして運動する動きが難しいとのこと。
医師の方からも「縄跳びはむずかしい…」と、先日言われたばかりだそうです。
そして、Jくんも、ぼくと縄跳びを練習する前は、「縄跳びは苦手…」とボソっと言っていました…。
前にも「体育が苦手、あまり好きじゃない」とつぶやいていました。
でも、この動画を撮影した日、最初は5回しか飛べなかったJくんですが、最後には目標にしていた30回を連続で飛ぶことができました。
ぼくは体育の先生でもなんでもないので、特別な教え方をしたわけではありません。
やったことといえば、
・向かい合っていっしょに跳びながら教えた
・「できるよ!」ということを刷り込ませるように声掛けした
・段階的に褒めた
→10回連続で飛べたら、「すごいじゃん、10回も飛べたね!この調子なら30回も飛べる!」みたいなイメージです。
の3つくらいです。
本当にこれだけです。
しかも、ぼくが説明をしても、きっと半分くらいしか聞いてなくて、あとは自己流で何度も何度も跳んでいました。(笑)
でも、両足跳びもまともにできない状態から、たった40分で目標連続30回を達成しました。
そのときのJくんの表情はとてもうれしそうだった。
応援していたぼくも泣きそうになりました。
そのあとは、ギュッと抱きしめて、
「本当によくがんばった!」
「えらい!」
と褒めて褒めて褒めました。
そして帰り際、Jくんの口から、
「おれ、体育苦手じゃなかった!おれ、体育できるんだ!」
という言葉が出ました。
笑みを浮かびながら、少し自信をもった表情で…。
ぼくはこのとき、
「今日のこの経験は、Jの自己肯定感につながった」
と自信を持って実感することができました。
そもそも、自己肯定感とは、
自分のあり方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉です。
【引用元】
と定義されています。
簡単に言えば「自分を素直に認められること」です。
また、自己肯定感が高いと「ぼくならできる!」という自信につながり、さまざまなことにチャレンジできるようになります。
そして、この自己肯定感を高めるためには、今回のJくんのように「小さな成功体験」をたくさん積むことが大切です。
「いやいや、でも成功体験なんてそんなにたくさん積めるの?」
と疑問に思う親御さんもいらっしゃると思います。
そのようなお考えをお持ちの親御さんは、ほとんどの場合「成功体験」を大きなものとして捉えがちです。
でも、大きな成功体験である必要はありません。
たとえば、「コンクール入賞!」「大会で優勝!」などの成功体験を積むべきだと言っているわけではありません。
もちろん、大きいに越したことはありませんが…。
でも、小さな成功体験でも十分です。
自己肯定感を育むことはできます。
「縄跳びが30回飛べた!」
「引き算ができるようになった!」
「自転車に乗れた!」
などなど…。
大切なのは、その子どもが「できた!」と思えるかどうかです。
みなさんのお子さんが、達成感や満足感をしっかりと感じることができれば、その成功に大きいも小さいもないのです。
ましてや、他のお子さんと比べる必要なんてまったくありません。
月並みな表現ですが、「昨日のお子さん」と「今日のお子さん」の間に、小さな成長が見られれば十分なのです。
でも、じゃあどんな経験でもいいかというと、実はそんなこともありません。
「なんでもいいから、経験させれば、自己肯定感につながるでしょ!」
と考えるとうまくいきません。
では、どんな経験がいいのか、その条件は以下の3つだと僕は思っています。
✓ 子どもが努力すれば達成できる「無理のない目標」
✓30分は練習しないと達成できないこと
✓子どもが「得意ではない」「苦手…」という意識をもっているもの
この3つをしっかりと満たすものであれば、自己肯定感を高める経験になる可能性があります。
ただ、3つの条件といっても、お子さんにとってちがってきますよね。
ピアノが得意な子もいれば、
スポーツが得意な子もいる、
本をたくさん読める子もいる、
そう、十人十色です。
だからこそ、親御さんがしっかりと子どもを見てあげてください。
あなたのお子さんは、どんなことが得意で、どんなことに苦手意識をもっていますか?
どんなことが他のお子さんより優れていて、どんなことが苦手ですか?
それがわかるのは親御さんだけなのです。
また、子どもと毎日触れ合っている親御さんだからこそ、適切な目標を設定できるのです。
そのため、まずは以下の3つを満たす経験を考えてみてください。
✓ 子どもが努力すれば達成できる「無理のない目標」
✓30分は練習しないとできないこと
✓子どもが「得意ではない」「苦手…」という意識をもっているもの
もう少しお伝えすると、
目標設定のときのポイントは、
「少しつまづくかもなぁ」
「今日中に達成はむずかしいかもなぁ」
「途中で投げ出しちゃうかもなぁ」
というくらいの目標を選んでみることです。
ぼくも、今回、目標連続30回を最初に設定したときは達成できるか正直不安でした…。
でも、一生懸命練習する姿に、いつしか「この子ならいけるかもしれない…!」と思い始め、最後には前向きに「がんばれ!」「できる!」と伝えながら応援し、指導しました。
そして、結果的に彼は達成したのです。
そのときの表情は自信に満ち溢れていた…。
あまり嬉しさを表情に出さないJくんだけど、このときはさすがの彼でも、その嬉しさが表情から滲み出ていました…。
そんな彼とにくらべて僕はうれしさを隠すことができず、彼を思いっきり抱きしめました…(笑)
ここまで自己肯定感という難しい言葉を使ってきましたが、もっとストレートに表現すれば、
「自分に対しての自信」
です。
これがあれば、人は未知なるものにも挑戦できるし、簡単に諦めたりしないと僕は思います。
「子ども時代から、小さな成功体験を積ませて、子どもが良い意味で自信を持てることが大切だ!」
と改めて実感できた出来事でした。
みなさんのお子さんも、可能性は無限大です。
子どもだからこそ、つらい経験をして、壁にぶち当たる経験をいくつもすることが今の時代には必要だと思います。
「子どもが好きなことをやらせる」
「ありのままの教育を」
「自由な教育を」
「子どもの意思を尊重しよう」
最近では、このような言葉をよく耳にします。
たしかに、この考え方も重要です。
でも、だからといって、子どもを安全なレールに乗せるだけでいいのでしょうか?
親が完全に監視・管理できる檻のなかに閉じ込めて良いのでしょうか?
子どもが挫折しないよう親がすべて計算をして「失敗しない環境づくり」をしてもいいのでしょうか?
ぼくは、反対です。
これらは、子どもの力を信じていないことを意味すると思います。
時には、
自分ができないことに対して悔し泣きしたっていい
自分の無力さを感じたっていい
失敗してみじめな思いをしてもいい
このような困難に子どもがぶつかったとき、もう一度立ち上がって、また挑戦できるようになる力を僕は子どもに身につけさせたい。
でも、子どもが何度失敗をしても、また挑戦できるようになるには、「絶対的に安心できる居場所」が必要です。
その居場所になることができるのは、お母さんお父さんだけです。
親の役割は、子どもがいつでも絶対的に信頼できる「心柱」になることだと僕は思っています。
少し熱量が上がり、途中表現が拙くなってしまい、申し訳ありません。
貴重なお時間を割いてのご精読、ありがとうございました!
坂本 翔